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【症例】エナメル質形成不全への対応
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2022/06/03 症例
治療内容 | ジルコニアセラミックによる審美修復 |
---|---|
期間 | 1ヶ月 |
治療回数 | 3回 |
費用 | 121,000円(税込)×2本 |
治療前の状態・主訴
こちらの20代前半の女性は、長年前歯の先端にあるエナメル質形成不全による白斑と、右の前歯が前に出ている歯並びに悩まれているとのことでした。
確かに、左右1番目の形成不全は大きく、歯の先端に位置していることから笑うと見える部位です。
今回治療するにあたり、2本の歯の並びも整えたいと希望されました。
治療詳細
治療方法として、形成不全の白斑は削り取り、コンポジットレジンにて色調を修正、重なった歯並びは歯列矯正で整えるという、患者様自身の歯を極力削らない方法も可能でした。
しかし、コンポジットレジンでは色調を合わせることが難しく、数年で変色し再度目立つようになること、また歯列矯正は長期時間を要し後戻りしてしまうことがあること、
これらをふまえ、再治療が少ないジルコニアセラミックでの修復を選択しました。
今回の前歯2本は神経のある歯(生活歯)なので、ジルコニアセラミックを入れるにあたって注意したいのは、できる限り神経を残すことです。
十分にセラミックの厚みを確保できるようにしながら形成量を調整しました。
次に型どりを行い、色調合わせのため写真を撮影しました。
写真はセラミックを焼成する歯科技工士が撮影し、お口の中を技工士が直接確認します。
治療後の様子
重なっていた前歯2本は自然に並びました。
もちろん全体的に削ってセラミックで修復しているので、形成不全の白斑はありません。
笑うたびに気になっていた部分が改善され、今後は今まで以上に自然な笑顔になると思います。
主な副作用・リスク
・予後を完全に保証するものではありません。
・ジルコニアセラミックは自由診療での治療となります。
・神経を保存して治療をしていますが、今後神経の治療が必要な症状が出る場合があります。
エナメル質形成不全とその対応について
エナメル質形成不全は、軽度の場合は歯の表面に白色や茶色の変色がみられる程度ですが、重度の場合は歯の表面に不規則な凸凹の欠損を認めます。虫歯と違い歯が生えた時からみられる生まれつきの変色で、普段私たちの診療で目にすることも少なくありません。
エナメル質形成不全の原因としては、①全身的な要因 ②局所的な要因があります。
① 全身的な要因
歯が骨の中で作られる形成の時期に、何らかの全身的な障害で歯の成長が一時的に阻害されることがあります。例えば、母親の妊娠期での病気やビタミン不足などがあげられます。
全身的な要因では、多数歯にわたることが多く、多くの場合は左右対称にみられます。
② 局所的な要因
乳歯の虫歯を長期間放置して膿が貯まっていたり、外傷を受けると後続永久歯に影響が出て、エナメル質形成不全がみられることがあります。
この場合、エナメル質形成不全は単独でみられることが多いです。
今回の症例は前歯2本の歯並びを改善するために被せ物で修復しましたが、エナメル質形成不全への治療、対応としては下記が挙げられます。
・軽度の変色の場合
フッ素塗布で歯質強化を行い経過観察。
・表面が凸凹している、一部欠けている場合
コンポジットレジンによるダイレクトボンディングで修復。
・歯冠が崩壊している場合
被せ物を作製して修復。
私達が普段の診療で目にするエナメル質形成不全は軽度のものがほとんどです。
しっかりとプラークコントロールができている方であれば、経過観察で問題ありません。
しかし、エナメル質形成不全の歯質は、密度が低く脆いので虫歯になりやすく、また、一度虫歯になると進行が早いという特徴があります。
全く問題がないように見えても、歯の中で虫歯が大きく進行していることがあるので要注意です。
ご自身の歯でも大きな変色がみられる方は、歯科の受診をお勧めします。
馬車道アイランドタワー歯科では歯科検診にも力を入れています。
お口の中で気になることがあれば、何なりとご相談ください。
馬車道アイランドタワー歯科 院長 鈴木
こちらもご参照ください
セラミック治療|馬車道アイランドタワー歯科